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【兄弟姉妹・遺産分割事例】

2021年10月1日

今回は遺産分割の解決事例を紹介させていただきます。

【遺産の内容】宅地・農地・預貯金

【問題点】過去の預貯金取引履歴において不透明な多額の引出がある事例

【解決内容】不透明な引出については当事者全員争わずに、現在ある遺産を法定

 相続人において相続割合に従い分割(宅地・農地の不足分については代償金にて調整)

【特に力を入れた点、考慮した点】

 預金の不当引出の問題については、訴訟でしか解決できない事項です。調停でいくら

引出の不当性を主張しても裁判所に取り上げてもらうことは難しいです。ただし、裁判に

おいては立証の壁という問題が出てきます。不当に引出した者が特定の相続人であるのか、

払戻伝票の筆跡を対照したり、払戻現金が誰に帰属したのかについても、受取書等銀行

業務に基づき作成される書類を弁護士照会制度により集める必要がありますので大変

手間がかかります。裁判をする場合は必ず費用対効果(裁判にいくらかけるか、いくらもどって

くるのか、戻ってくる可能性)を考慮して訴訟するか否かを検討する必要があります。

 農地の評価については、路線価で合意できればよいですが実際の取引価格は調整区域に該当

することも相まって、利用価値との兼ね合いで、路線価からかなりダウンした評価となる

こともあります。他方農地にこだわりを持っている相続人にとっては、どの農地を取得するか

否かで意見が衝突したりします。そうしますそ、現状誰が耕作しているのかということが重要な

要素となってきますので、取得したいと思う土地(宅地又は農地)については、取得したい意思

を外部的に表明できるような形で占有し、他の相続人の持分割合に相当する土地までも占有して

しまったことは、地代相当額の調整金において解決することが望ましいと思います。

所長弁護士 平尾 憲一

 

  

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